2017年4月9日日曜日

新経済サミット - NEST STARTUP CHALLENGE (DAY 1の一部)

新経済サミットでは、毎年ベンチャーのピッチがあり、優勝者が表彰されます。最初は本会議の開会後のセッションの一部としてこのようなコンテストが行われていましたが、ここ2、3年は、開会が1日目の午後になり、午前にピッチ会を開催する形式になりました。
11社のベンチャーが登壇しました。前回は、英語でのピッチでしたが、今回は日本語でもよいということになったようです。また、これまでは、新経済連盟が事前に選抜したベンチャーが登壇していましたが、今年からはVCなどの「エコシステムビルダー」が推薦したベンチャーが登壇するやりかたに変わりました。推薦者は、VCだけでなく、経済産業省、福岡市、神戸市、トーマツベンチャーサポートなども含まれていました。EYとKPMGはスポンサーですが、トーマツはちゃっかりこんなところに出てきています。私が居たときもスポンサーはしないという方針でしたが、トーマツらしいところが出ています。

ピッチした会社のビジネスと私のコメントは以下の通りです。

1.  ポケットマルシェ
農家や漁師と消費者を直接結びつけるネット通販。産地直送の通販サイトは色々ありますが、それらを一箇所にまとめたマーケットプレースという感じです。遠隔地からの配送になるため、送料がかかります。スーパーで買うのと比較して、送料を含む価格は高いのか安いのか、どちらでしょうか。注文ごとに送料が掛かることから、多分高くなるような気がします。これが安くできれば、伸びるビジネスと思います。

2.  aba
介護の仕事で排泄の対応は重労働です。寝たきりの老人のオムツを定期的に交換するだけでは、オムツが無駄になったり、排泄から時間が経って肌荒れしてしまうようなことが起こります。これを防ぐためには、排泄通知されるのが良いです。
ベッドに臭いセンサーをつけて、排泄を検知する製品をこの会社が開発しました。最近、パラマウントベッドと組んでHelpPadという製品も開発したそうです。
社会性のあるビジネスであり、ある程度売れると思いますが、これだけだとEXITできるようなスケール感がありません。

3. smart parking
  名古屋で起業したパーキングのシェアリングエコノミー版。この会社のコーンを駐車場に置くだけで、スマホで探せるようになるというもの。コーンを置くのは1日で手配できるそうです。コーンをGPSで探せるようにしてあるのではなく、地図上に登録するのは手動だと思います。
駐車場の利用者は、コーンに貼ってあるバーコードを読めば、駐車開始。利用終了時にバーコードを読めば、利用終了、というやり方です。支払いは、スマホで支払うので現金のやり取りは不要です。
儲かるとなれば、よく似たビジネスを始める人が多くなるはずですので、この会社が大儲けすることはできないと思います。

4.  CQV (ComQuest Ventures)
ドローンの設計を行って、空気力学(Aerodynamics)のテストがコンピュータ上で行えるようにするものです。それを使ったドローン製品の販売も行うようです。オスプレーのようなプロペラが回転して垂直離着陸するドローンも見せていました。
ドローンの製造販売は、競争が激しくすぐに中国メーカーが出てくるので、ビジネスが難しいと思います。

5.  FITTY
オンラインフィッティングの会社です。女性用下着(ランジェリー)にまずは特化するようです。
靴とか洋服などの仮想フィッティングのベンチャーがあります。Slush Tokyo2017では靴のフィッティングサービスがありました。自分の実寸測定と、フィッティングさせる服などのサイズ測定が標準化されないと、会社が乱立するとメーカーや販売店の対応ができなくなると思います。
このサービスは、ネット通販の付随サービスで、BtoBモデルと思いますが、あまり儲かる感じはしません。

6.  Capillary Analytics System (CAS)
毛細血管を見れば健康状態がわかるというものです。毛細血管の状態と健康との因果関係は実証されているのでしょうか。どんなイメージだとどんな病気の兆候があるのかということが、はっきりしないと診断できません。
血液サラサラ度を測るベンチャーもありましたが、その診断結果は参考にはなるものの、医学的にどうこう言えるものではないと思われました。それと同じようなサービスの感じがします。

7.  FOVE
VRゴーグルが比較的廉価に買えるようになりました。ゲームなどに使われるのだと思いますが、まだ、それほど普及していないと思います。
この会社は、目の動きを検知するセンサーをVRゴーグルの中に付け、その結果によって見える画像を変えていくというシステムを開発中です。
休憩時間にこの会社の社長と少し話をしましたが、12億円の資金調達をしたそうです。それだけの資金があれば、いろいろ試してみることができると思います。結局のところどんなコンテンツにこれを利用するのかということになると思います。コンテンツ開発会社や消費者にこれは良いと思ってもらうためには、自作で説得力あるコンテンツを作る必要があると思います。

8.  Dattabot
インドネシアの会社です。ビッグデータ分析サービスの会社です。コンサルモデルのようですので、成長に限界があります。ビッグデータ分析のコンサル会社は山ほどあります。

9.  日本環境設計
Bringというブランド名で、石油製品のリサイクルを効率的に行う会社です。プラスチックをリサイクルすると劣化することから、元のプラスティックには戻りません。この会社は、元に戻す技術を持っているとのことです。
ビジネスとは直接関係ないですが、映画のBack to the Futureに出てくるデロリアンというスポーツカーは、ゴミから再生した燃料で走ることから、実際に同社の技術で動かすというイベントを開催し、成功したことで有名です。
昔、トヨタも創業時に、機関車と競争して勝って新聞に掲載された、ということがありましたが、同じようなアプローチです。

10.  Agribuddy
この会社は、2016年6月日経 FinTech が主催する「Nikkei FinTech Conference 2016」のピッチコンテストで最優秀賞を受賞しています。日本のベンチャーですが、今のところカンボジアで活動しています。スマホも持たない僻地農家を対象として、信用レベルを数値化し、それを元に金融機関が貸付を行うというモデルのようです。その他、農業のためのデータを提供したり、物販をしたりしているようです。
なぜ、最優秀賞なのかわかりませんが、社会性は高いことはわかります。

11. G-TAC
遺伝子検査サービスの会社です。これまでの遺伝子検査は、その結果を医師が判定するようなことはなかったですが、この会社は、医師と受検者を繋ぎ、医師から情報提供することが特徴とのことです。
人ゲノム解析が完了した、とだいぶ前に報道されました。それは人の遺伝子がどんな風になっているかが分かったということであり、どんな形ならどんな病気に何パーセントの確率でなるといったことは、まだあまり分かっていないと思います。
ということで、分かっている範囲で医師が教えてくれる、というのがこのサービスと思います。
遺伝子検査サービスが盛り上がらない現状で、このサービスだけが儲かる保証はなさそうです。

私は、技術系のベンチャーを優先する立場から、この中では、ドローンのCQV、VRゴーグルのFOVE、リサイクルの日本環境設計、遺伝子検査のG-TACがよかったと思いました。

審査の結果、ポケットマルシェとAgribuddyが優勝し、賞金100万円を2社で分けることになりました。












0 件のコメント:

コメントを投稿