2017年4月13日木曜日

新経済サミット2017 - DAY2

2017年4月6日と7日に開催された新経済サミットのDAY2の内容と筆者のコメントです。

1 不透明な世界情勢におけるFinTechの今後

海外のFinTechベンチャーによる対談です。

insiktのジェームス・グティエレス氏はどこか見た顔です。多分、昨年11月のTechCrunch Tokyoでも登壇していたと思います。彼のビジネスは日本でも適用できそうな感じがしました。消費者ローンをやりたい非金融業の会社にシステムを提供する(その会社のブランドで消費者ローンを運営する)というビジネスモデルです。

Currency Cloudは、APIを提供し、通貨の両替を行うサービス。例として、ヨーロッパを走るトラックにボックスをつけておいたら、高速の料金所を通る時に、その国の通貨に自動的に両替される、ということでしたが、、、いまいち仕組みがわかりません。多分、日本では両替ニーズがそれほど多くないので、ビジネス化は難しいと思います。
TransferWiseは、海外送金のベンチャー。これも移民が多いなどのアメリカ、ヨーロッパの背景があれば、個人の海外送金がビジネスになるでしょう。日本ではニーズがあまりないと思います。

あと、もう一人はTHiel CapitalでVCの方です。
この面々だと、日本でFinTechをどうしたら良いかについて議論ができるわけがなく、議論がいまいちスッキリ入りませんでした。

2 IoTがもたらす社会のイノベーション /女性目線で考えるスタートアップエコシステム

この2つのセッションは、ちょっとパスさせていただき、ちょっと仕事をして、早めにランチをしました。

3 ライドシェア、カーシェア、そして自動運転

Cabifyは、南アメリカとスペイン、ポルトガル(スペイン語、ポルトガル語圏ですね)でUBERと同じようなライドシェアのサービス会社

Careemは、上記の中東版。
新興国でのライドシェアの話は、そういうことか、という気づきがあり面白かったです。例えば、そもそも電車、バスなどのPublic Transportationが整備されていない状態でのライドシェア(タクシー)ですので、これで非常に助かった、という人が多いということです。タクシーは多分あるのでしょうが、当然流しのタクシーはないですが、なかなか呼べない。中東では、女性は運転しないので、スマホで呼べる車は非常に助かる。また中東では生きた羊をお祭りなどの時に買いに行くが、車のトランクに入れて配達するというSheep on Demandのサービスが受けている、というのも面白い話でした。
UBERは、米国発なので先進国でのライドシェアは得意でしょうが、新興国となると地元の会社が強い、ということが分かります。

get aroundは、先進国的なサービスの代表として、カーシェアビジネス。車は買っても使わない時間が長いのが普通です。それを誰かとシェアすればよい、という発想です。AirBnBの車版と言えます。よくできているのは、車に装置を取り付けると、ネットに繋がり、スマホでドアの鍵が開くようになる、ということです。シェアする車のあるところに行って、スマホを操作したら、鍵が開くという仕組み。ただ、車のところまで行くのか、車が来てくれるのか、どうなんでしょうか。

パネルディスカッションでは、新興国同士の話は合っていましたが、先進国とは話が合わないという状況でした。

4 特別講演:小泉純一郎さん

「アメリカがシリア空爆しましたね。」から始まりましたが、その話はせず、結局予想通り「原発ゼロ」のお話でした。会計士協会の会計士の日の講演で小泉さんのこの話を2,3年前ぐらいに聞きました。ただ、フィンランドの最終処分場をその後見学に行かれているので、その話は面白かったです。

人里離れた島の地下400mのところに作られ最終処分場は、かなり広いが、フィンランドでは原発4基のうち、2基分しの処分しかできないそうです。燃料棒などの放射性物質をそこで10万年保管するそうです。入口に「ここを開けてはいけない」ということを何語で書くか議論になっているそうです。フィンランド語も使うでしょうが、英語も含め何ヶ国語かで書いて、絵でもわかるようにした方が良いでしょう。

5 スペシャルセッション:YOSHIKI

彼の登場は、3年目です。毎年恒例になるのでしょうか。午後から前の方にファンクラブ特別席ができます。ちょうど私の席の2列前ぐらいより前です。昔若かった人たちも多い印象を受けました。

ステージにクリスタル・ピアノと呼ばれる透明アクリルのピアノ(Kawai製)が置かれ、Forever Loveともう一曲ぐらいというも昨年と同じと思います。普通のピアノより100kg重いそうです。なので400kgぐらいでしょうか。移動が大変です。

ファンの方には悪いですが、YOSHIKIさんは会の流れに合わないので、これで最後にしてください。

6 キーノートセッション:トム・ケリー(Tom Kelley)

「クリエーティブ・マインドセット」「発想する会社」「イノベーションの達人」などの本を書いた人です。イノベーション教育のプロという感じの方です。東大のi-schoolも手伝っているようです。

英語でのお話は明快そのもの。英語もわかりやすい、内容も明解。成功したベンチャーの事例を使って、ベンチャーがビジネスプランを作ったり、方向性を見直したり、いろいろな場面で役立つヒントを提供します。

一番印象に残ったのは(すでに私はこれを使わせていただいています)、Steve JobsがiPodを説明するのに、MP3プレーヤーだとか、音が良いとか、iTunesとうまく連携しているとかは一切言わず、「a tousand songs in your pocket」と一言で説明したのが成功を導いた、ということでした。

サービスや製品を作った人は、その苦労があるために、色々と説明したがります。筆者がベンチャーのメンターをしていても、良くあることです。一言で製品やサービスを説明してみる、というのは非常に大事です。マーケットに説明するだけでなく、創業者本人が再認識するためにも必要と思います。

お兄さん(英語はbrotherだったので、弟の可能性もと思って調べたらお兄さんでした。顔がそっくり)がスタンフォード大学のデザインスクール(d.school)を作ったと言っていました。デザイン思考ですね。
D4C = Design for Change
D4L = Design for Learning
D4V = Design for Ventures
と進化しており、世界に先駆け、日本でD4Vを始めると、謎の言葉を残して去って行きました。あとで、調べておきます。デザイン思考、賛否両論の感じもします。

ケリーさんの話は非常に良かったので、もっと聞きたいと思いましたが、30分だけでした。

7 広がるドローン活用と空の安全管理

AirMapは、ドローンが安全に飛行するのに必要な地図などを提供して、ドローンの管制・管理を行うプラットフォームを提供するようです。
Rakuten AirMapは、楽天が出資した日本の会社(出資したのは親会社かもしれません)
Rapyta Roboticsは、東京に本社がある小型ドローン製造販売会社。社長はインド人?、日本の会社のようですが、社員のほとんどは非日本人です。
Yuneecは、ユニークと読みます。人が乗れる大型のドローンも開発中。
話の多くは、各国の規制の話。Technology is ahead of Regulationだそうです。規制が多くて飛ばせるところが少ない。その点、日本政府は寛容で、特区を作って産業育成に努めているようです。
都市部では、住宅やビルの上ではなく、道路の上を飛ぶとか、空中の道路を作るなどのインフラ整備が必要になるでしょう。今の所は、どの国でも「操縦者の見える範囲」で飛ばすように求められているそうです。それだと、利用範囲が限られます。と言っても、急に落ちてきたら危ないです。業務用のドローンはかなり大きいです。

8 AIは未来をどう変えるか

IBM Watsonは、ご存知のIBM自慢の人工知能。高速検索エンジンという話もあります。Cognitive Techology(認知技術)と呼んでいましたが、基本はルールベースの技術であり、一世代前のif thenルールのカタマリと、私は理解しています。昔、エキスパートシステムと言われていたやつの部類です。今話題のディープラーニングとは異なる技術です。

東大の松尾豊先生は、ディープラーニングの先生のようです。深層学習と翻訳されています。それだけでは深く学ぶみたいな感じですが、機械学習と言って、コンピュータが学習することができるようになったのが新しいようです。ただ、ディープラーニングは画像を見て判断するのが多いようです。犬か猫かをルールベースでコンピュータに教えるのは大変です(目が2つ、耳が2つ、毛があるぐらいだと区別できません)が、大量の画像を覚えさせてコンピュータが画像から犬か猫かを判断させる、というのが有名な話です。
松尾先生のお話で印象に残ったのは、「生物は目を持ったことから急速に進化した」ということです。目がない時代は進化が遅かったそうです。これは「眼の誕生」(アンドリュー・パーカー著)に詳しく書かれています。目によって「カンブリア爆発」という生物の急激な進化が起こったということです。「光スイッチ説」というそうです。機会があったら、この本を読んで見たいと思います。
松尾先生は、ディープラーニングによって、ロボットのカンブリア爆発が起こるだろうと言われていました。
また、シンギュラリティという言葉があります。これはAIのが人間を超えることや時点をいうのですが、松尾先生によると、生命と知能を混同しているということでした。AIは生命を超えられないが、人の知能を超えることはできるということだと思います。

以上で、最終日のDay2が終了しました。
そのあと、懇親会にも参加しましたが、スピーカーの方はあまり見かけませんでした。その中で、Day 1最後のセッションの小林久隆先生(NIHの研究員で、光を当ててがん細胞を壊す技術)がおられたので、名刺交換し少しお話をさせていただきました。とてもパワフルに先生の技術のご説明をしていただきました。その内容は、Day1の先生のセッションのところをご参照ください。

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