2017年4月27日木曜日

アメリカのバイオベンチャーの動向

昨日は、日本橋のライフサイエンスビルにあるLink-Jで開催される、Link-Jネットワーキング・ナイトに初めて参加しました。午後6時半からお酒とおつまみが出て、飲みながらお話しを聞けるという趣向でした。
今回のテーマは、アメリカのバイオベンチャーのお話を聞きました。

まずは、500 Startupsの澤山さん。
Indie Bioというアクセラレータがサンフランシスコにあるそうです。選ばれたベンチャーには3000万円($250K)弱のシード投資をするようです。Yコンビネータのバイオ版といったところだと思います。今日、澤山さんが紹介されたバイオベンチャーは、ここが出資している会社です。(最後のGlowing Plantを除く)







Menphis Meatsは、試験管で肉を作る人工肉の会社です。たんぱく質を合成して肉と同じようなものを作るということのようです。今の所写真のミートボールを作るのに数百万円かかるそうです。味はイマイチだそうです。




Ava Labsは、ぶどうを使わずに、ワインを作る会社。ワインの組成を分析して、それと同じものをバイオ的に作る会社です。美味しいビンテージワインが作れれば、ワイナリーの商売あがったりになります。これも多分、現状できたとしても、コストが高くなるとか、味がイマイチということなのだと思います。

Mycoworksは、食品ではないですが、キノコを原料にした皮革だそうです。写真のように皮のようなものがキノコからできるというのは驚きです。




Catalogは、データをDNAに保存するビジネスです。ちょっと理解を超えますが、ハードディスクの代わりにDNAを使おうということのようです。DNAには膨大な情報が保存されていることは知られています。そのやり方を使うということだと思われます。ハードディスクではなく、バイオストーレッジにデータ保存する時代が来るのでしょうか。



A2A Pharmaは、コンピュータを使った低分子化合物の医薬品候補を見つける手法を使う創薬の会社のようです。低分子化合物は、ほとんど探し切られたと言われていますが、コンピュータを使えば、まだ可能性があるのでしょうか。






Glowing Plantは、キックスターターで5000万円集めたそうです。その名の通り光る植物。遺伝子組み替えで、細胞が光るようにすることはバイオテクノロジーでは普通にできることだそうで、それを植物に適用するという単純なアイデアの会社。ただし、これは成功せず、お金を払った人には商品の出荷ができないまま、資金が尽きたそうです。失敗例ということではなく、こういう、単純なことがビジネスになるということを認識すべきということでした。

次に、高野誠大さんが登場されました。Awakensというベンチャーをアメリカで起業した方です。Awakensは、「ゲノムのグーグルマップを作る」というコンセプトで、既知のゲノム情報を蓄積してそれを使ったソリューションのプラットフォームになるというビジネスのようです。

最初、ヒト1人のゲノムを読むのに3000億円かかったそうです。今は30万円、将来は1万円になる。

ゲノム(遺伝子)を読むコストは安くなりましたので、ベンチャーがいろいろ出て来ました。
第一フェーズは「解釈型」。日本でもよくある遺伝子診断ビジネスです。
第二フェーズは「課題解決型」です。ただ、今のところヒトの遺伝子と病気の関係などがまだまだ解明されていません。要するに、遺伝子の配列がわかっただけで、その配列だとどんなガンになりやすいのか、どんな性格になるとか、というのはほんの一部分しか分かっていません。そんな状態でもアメリカではベンチャーが元気に起業しています。

Vinomeは、ヒトの遺伝子診断に基づき、合うワインを提案するビジネス。
DNAFitは、ヒトの遺伝子診断に基づき、体に合う食料品を選んで送ってくるビジネス。
DNA app storeというアプリを集めたサイトもできています。


今日お話は、先日聞いた武部先生のミニ臓器のような迫力ある話ではなく、どちらかというと既知の情報や技術を使ってバイオをツールとしてビジネスをするというベンチャーのお話でした。

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