2018年11月27日火曜日

ベンチャーの出口としてM&AとIPO、どちらが良いか

日経新聞(2018年11月25日)によれば、ベンチャーのエクジット(出口)として、M&Aが最近増えてきているとのことです。

「日本のスタートアップの投資回収の出口はこれまで新規株式公開(IPO)が中心で、16年はIPOがM&Aの4倍を占めた。18年1~10月の国内IPO件数は69件で、M&A件数の1.4倍と差が小さくなってきた。」日経新聞(2018年11月25日)

IPOがまだM&Aより多いですが、大分近づいてきました。米国では全体の9割がM&Aとのことですので、圧倒的な差になっています。

単純に、米国のようにM&AがIPOより良いのでしょうか。日本は米国のようにもっとM&Aによるエクジットを増やすべきでしょうか。ここで少し、ベンチャーの出口としてIPOとM&Aを考えてましょう。

IPOは、ベンチャーの出口ではありますが、上場会社としての成長の入口です。上場以降の成長戦略がないとIPOの意味がありません。また、IPOは会社が成長して大企業の仲間になるということですので、上場前の時のように「イチかバチか」の経営はできません。上場会社としての内部統制、コンプライアンス、組織管理が必要になります。

これがうまくできるベンチャー経営者もいると思いますが、小規模なベンチャー経営に魅力を感じる経営者もいると思います。

M&Aの場合は、大企業に買収されるということですので、それ以降は大企業の子会社または一部門として運営していくということになります。一般にベンチャー経営者はそこで身を引くのが普通です。

米国ではシリアル・アントレプレナーと言って、ベンチャー企業を売却して次々と立ち上げる起業家がいます。そういう人たちは、エンジェル投資家として多くのベンチャー企業を育てます。これはM&Aによるエクジットが前提だからできることです。上場会社の経営者になったら、その会社の経営に専念することになり、シリアル・アントレプレナーは育ちません。

日本では、IPOが多いということは、シリアル・アントレプレナーが育たない土壌であるということです。大企業の経営者とベンチャー企業の経営者はタイプが違うのは普通です。ベンチャー企業の経営者層を厚くすることは、日本でのベンチャー育成に必要なことだと思います。

そのためにはM&Aによるエクジットを増やすことが必要です。しかし、M&Aは買収してくれる企業があって成立します。日本企業は、徐々に変わってきていますが、まだまだ自前主義で、ベンチャーは信用しないという姿勢が残っていると思います。

一方、M&Aによるエクジットが増えないのは、日本のベンチャーが、日本企業にM&Aしてもらおうとするからではないでしょうか。日本企業に拘る必要は何もありません。東大発のロボットベンチャーのSHAFTがグーグルに買収されたのは有名です。

ベンチャーは、もっと海外に目を開いて積極的に売り込むことが必要です。海外企業が日本のベンチャーに目が向かないのは、日本のベンチャーの市場が日本に閉じているからではないでしょうか。海外企業の目に触れるような、グローバル市場で勝負するベンチャ―が出てくる必要があります。

反対に、日本のマザーズ市場への上場が比較的簡単だということも、日本のベンチャーがIPOに行ってしまう原因かもしれません。日本市場の存在感はグローバル市場に比べたら小さくなって来たとは言え、結構大きいので、日本市場だけをターゲットにしても、それなりの会社規模になり、IPOできてしまうのです。

ただ、IPOの場合は、上場準備に入るために組織体制の構築するなど、その時点で会社の体(てい)を整え、大企業になる準備に専念することが必要になります。M&Aの場合はこの必要がありません。ベンチャーとして全速力で走りきった後の出口がM&Aです。その点で、M&Aに比べればIPOには時間がかかることになります。

日本のベンチャーは、もっと海外に大きく目を開いて、グローバル市場で勝負をするようになれば、M&Aがもっと増え、国内での優秀な起業家層を厚くすることが、さらなるベンチャーを育てる土壌になると思います。

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