2017年11月4日土曜日

植物工場は儲かるのか?

「植物工場の最新動向」というセミナーに参加しました。日本では「みらい」というベンチャーが2015年6月に破綻しています。この会社は監査法人も決め上場準備に入っていたはずです。この会社の経緯については、下記の日経ビジネスONLINEに詳しく記載されています。http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/252376/092700065/?P=1

植物工場は、普通の太陽光を使う露地栽培に比べてコスト高になります。しかし、農薬を使わないことが健康志向の点で有利です。植物工場で作れる野菜も限定されており、葉っぱ物が中心のようです。丸い玉のようなレタスは、植物工場では開いた状態になるそうです。ただ、これが業務用だと処理しやすいという利点になるようです。

要するに植物工場ではできる限りコストを下げ、生産した野菜はできるだけ高く売ることが必要になります。植物工場では設備コストが大きいです。このため設備コストを最小限にすることが必要となります。設備メーカーが販売する植物工場の設備は、例えばレタスにはオーバースペックであることが多いということでした。この点に注意することが必要となります。

リーフレタスでは、一日2000から3000株生産し、年売上高1億円が損益分岐点だそうです。それも黒字化には5−6年かかるとのことです。ここが調査した結果では、黒字化している植物工場は10%しかないそうです。一株70円(減価償却なし)または80円(減価償却込み)が採算点とのこと。

高く売るという点では、カリウム(K)が少ない野菜とか、高マグネシウム、低硝酸(甘い)などの高付加価値にするというのも一つのやり方です。台湾では野菜の農薬問題があることから、安全性の高い植物工場の葉野菜が200gで1000円ぐらいで売られているそうです。

冒頭の破綻したみらいを引き継いだMIRAIは、業務用に特化するとのことでした。ただし、工場を増やす計画はなく、植物工場設備の販売をメインで行うそうです。自社工場はショーケースということです。

植物工場で生産したレタスシェアは、1.5% (2013年)から4.5%(2020年)に増えるというのが、このセミナー講師の予想です。しかし、少し寂しい話ですが、植物工場で作った野菜がスーパーで大量販売されるというのは当面なく、片隅で高付加価値商品として販売されるという状態が続くのだと思います。このため、植物工場の会社が上場するということは、難しいのではないかと思います。

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